舞台袖;『起』


index story 07;ロサ・ルビギノーサ


   退院して、家に戻った。
   病気は何一つ良くなっていない。
   両親は努めて明るく振舞い、
   3つ下の妹は、数日前から熱心に絵を描いていた。
   
   そして今日は、誰もが笑顔で祝ってくれた。
   遠くの街に住む祖父母もやってきて…。
   きっと今日が、最後の誕生日になるんだろう。
   
   妹からの誕生日プレゼントは、十ページ以上はある物語だった。
   挿絵には、ウネウネした紫色の植物。
   一際ゴージャスな服を着た女の人。
   見たこともない形で、聞いたこともない鳴き声を上げる動物。
   それから――。


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